私のネクストプロローグ編・ライラ
アイドルの道を諦めた子が故郷に帰るのを見送って、私は公園で座っていた。
空を眺めながらぼんやりしていると、「お隣、よろしいでしょうかー」とすこし間延びした声をかけられた。
目を向けると、丸く碧い瞳が印象的な褐色の少女がそこにいた。普段ならすぐにスカウトするような美人だ。
「ライラさんはですねー。みなさんとお話をするのが好きなのでございます。おしゃべりすると幸せな気持ちをわけてもらえますですので。」
それなら、今の私はあまり良い話し相手になれない。たった今、お別れをしてきたのだから。
そう答えると彼女は、今まで自分が幸せと思ったことを話してくれた。おかずを分けてもらったことや、バイト終わりにアイスを食べたこと。
自然に私は、前の担当アイドルとの思い出を話していた。苦戦したレッスン、初めて受かったオーディション。ロケ弁の味。
完璧な終わり方ではなかったけれど、彼女にとっても充実した期間だったと思いたい。
「――そのアイドルというお仕事は、ライラさんにもできますか? 実はわたくし、アルバイトを追い出されてお家賃がピンチでございますねー。」
#imas_ss