生
レイナサマが、ステージに立ってライブをなさる機会に恵まれた。早速レイナサマに報告すると、いつもの高笑いをして、「当然でしょ!?むしろ、遅すぎるくらいよッ!アタシがその公演の主役になってやるわッ!グズグズしてられないわよ、これからステージでやるイタズラを考えなきゃいけないんだから!P、秘密基地で作戦会議よ!来なさいッ!」と仰り、踵を返し大股でズンズンと事務所から出られた。慌てて私もレイナサマの後を追い、秘密基地へ入っていった。秘密基地の中に入ったレイナサマは、前を見たまま動こうとしなかった。私が声をかけようとしたとき、レイナサマは手を顔にやり、しゃくり上げるような声が聞こえた。私はその声が止むまで、ただ、秘密基地の中でレイナサマの背中を見つめた。
びっくり箱の中から出てくる僕「おめでとう」
言葉というものは素晴らしいものだが、時に邪魔になることがある。
長きに渡って積み重なってきた感情を表すために、言葉というものは必要ないからだ。
では語るには何が最も雄弁になるのか。
その人の背中である。
「小関麗奈、オンステージ!」END
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